取材相手を笑わせろ!スマイル写真のための10のテクニック
こんにちは、よしてるです。
なお私は撮られる覚悟がないタイプのカメラマンですので、もし私が取材される側になった場合、カメラマンが気の毒です。
人を対象とした取材記事の場合、メディアや記事のテイストとして笑顔が要らない場合を除いて、取材相手の笑顔の写真は欲しいですよね。しかし、誰もが撮られ慣れているわけではなく、特に正面からカメラを向けられると多くの人は凍りついてしまいます。
そんなときでも、カメラマンは何がなんでも笑顔を引き出さなければなりません。スマイル写真がなければ、クライアントから「Photoshopで笑顔に修正してください」と言われるかもしれません。なおこれは冗談ではなく実体験です。
そこで今回は、私が実践してきて確度の高かった笑顔引き出し術をご紹介します。
カメラマンはもちろん、一緒に取材に当たるライターやディレクターの方もぜひ参考にしてください。
目次
自然な笑顔を狙う7つのテクニック
以下にご紹介するテクニックは、主にカメラマンが実践するものですが、一部はライター(インタビュアー)やディレクターの役割も重要になります。
1. 取材中は世間話をする
いきなりライター主導のテクニックとなります。
その場の雰囲気や取材対象の性格にもよりますが、たいていの場合は取材されることに慣れていないので、ガチガチに緊張しています。そのため、インタビューしながらアイスブレイクをする必要があります。
インタビュー中だとスマイル写真は必須ではないかもしれませんが、インタビュー中に緊張を溶かしておかないと後に響いてしまいます。そのため、インタビューでは必要な質問だけを行うのではなく、世間話を織り交ぜていきましょう。
なおこの世間話は、本題の前ではあまり意味がありません。その後の本題で再び緊張してしまうのと、本題の前の世間話は「こちら側の緊張」や「緊張をほぐしたい意図」が相手に伝わってしまうため、逆効果となることもあります。
世間話は本題のインタビュー中に、関連する話題からつなげていきます。これにはどうしてもトークスキルが必要となってしまう部分もありますが、インタビュアーとしては実践を通しながらこのスキルを身につけていきたいところです。
2. 「撮りますね」と言う前にシャッターを切る
インタビュー中のスマイル写真は必須ではないですが、正面写真ではスマイル写真が欲しいですね。しかしこの正面写真こそが問題であり、よほど慣れた人でないとカメラ目線で自然な笑顔を作ることは困難でしょう。
スマイル写真の最大のチャンスは、取材相手の意識が「撮られる」と認識する前です。
正面写真を撮る位置を決めて、「撮りますね」と言ってしまうと、もう笑顔はありません。あとでPhotoshopです。
しかし、位置を決めるまでのわちゃわちゃの間は、わりとリラックスしていることが多いでしょう。インタビューの緊張からほんの少し開放され、自然と笑顔も出ています。
カメラマンはこのタイミングを逃してはいけません。位置を決めた瞬間から「撮りますね」と言うまでの間、カメラの連写機能が許す限り、シャッターを切りまくります。
このタイミングの写真だと、カメラ目線からは少し外れてしまうかもしれませんが、硬い顔の正面写真よりは使えることがほとんどです。
3. 周りの人にお喋りをさせる
最大のチャンスを逃しても、まだいくらかスマイル写真を引き出す余地はあります。
いざ正面写真の撮影を開始する前に、周りの人に「緊張しちゃうので、笑顔を引き出してください」とお願いをします。同行しているライターやディレクターはもちろんですが、取材相手の同僚にもお願いしましょう。運がよければ、現場にお調子者がいて場を盛り上げてくれます。
4. 「表情が硬くなっていますよ」と言う
それでも顔がなかなかほぐれない場合は、カメラマン自身が「表情が硬くなっていますよ」と伝えます。
少し小休止を取るフリをして、力を抜いてもらうのが目的です。私の場合は、カメラのファインダーから顔を外して相手に顔を見せ、小休止っぽい雰囲気にします。
もちろん、本当に小休止するわけではありません。この瞬間に表情がほぐれれば、すかさずシャッターを切ります。ファインダーから顔を外す場合で、手持ち撮影の場合は、カメラが動かないように静止するテクニックも必要です。
5. 変なポーズをさせる
4までで笑顔を撮ることができなかったら、もう絶望的ですが、現場の雰囲気的に許されるのなら変なポーズを指示してみるのもアリです。
何かしら商品を手に持ってもらう場合は、多少やりやすいでしょう。ちょっと無理な体勢を指示することで、ちょっと可笑しい気分になって笑顔がぽろっと漏れることがあります。
何も手に持っていなくても、「いくつかパターンを撮っておきましょう」という体でいくつかポーズを指示します。体を動かすことで、緊張がほぐれる場合があります。
6. ぎゅっと近づける(2人の場合)
取材相手が2人いる場合は、もう少しやりようがあります。例えば、「もう少し近づいてください」と指示をします。
実際、2人の正面写真を撮る場合、撮られる側が思う近距離だと実際の写真ではまだ遠いことがほとんどです。そういう意味でも、両者にもう少し近づいてもらいます。
そうすると、恥ずかしさや気まずさから苦笑いが出てきます。苦笑い写真が使えるかどうかは運ですが、表情筋が少しほぐれるので、スマイル写真を撮れる確率が上がります。
もちろんこのときも、「撮りますね」の前からシャッターを切り始めます。
7. 回転してもらう(2人以上の場合)
取材相手が2人以上いる場合は、その場で回転してもらいます。こうすると、意味がわからなくて笑うしかありません。
その隙を逃さず、自然な笑顔をファインダーに収めてしまいます。
スマイル写真のための技術的な3つのテクニック
いろいろな小手先はありますが、取材にてスマイル写真を撮るためには「撮られていると思っていないときに撮る」ことがとにかく重要です。以下の技術的な点をクリアできれば、確度が高くなるでしょう。
1. 広めの画角にしておく
「撮りますよ」というタイミング以外でスマイル写真を押さえなければならないため、特に手持ち撮影の場合、画角がズレてしまう危険性があります。そうなるとそもそも使えなくなってしまうので、あらかじめ広めの画角にしておき、あとからトリミングできるようにします。
三脚でカメラを固定している場合も、取材相手が動くことがあるので、やはり広めに撮っておくと安心です。
2. プリ連写機能を使う
これは機材を選んでしまいますが、シャッターボタンを半押しすることで全押しの少し前から記録を開始する「プリ連写」の機能があるのなら、積極的に使いましょう。
「笑顔きた!」と思ってシャッターを切っても、そのときにはベストショットが流れてしまいます。プリ連写機能を使えば、その瞬間を確実に写真に収めることが可能です。
プリ連写機能は電子シャッターを用いるので、シャッター音が出ず、これを気にする場合もあるかもしれません。シャッター音がないと被写体にとってはいつ撮られているのかわからない、とか。ただ、どのみち「撮りますね」の前に撮ってしまうので、あまり気にする必要はないですね。
3. 待機時間をなくすことに命をかける
インタビューや商品の案内などが終わってさぁ正面写真を撮ろうというとき、待機時間は限りなくゼロに近づけたいところです。
先ほどは、正面写真撮影前のわちゃわちゃの時間はインタビューの緊張から開放されると書きましたが、カメラマンがもたもたしていると一気に緊張が戻ってきます。緊張から開放された一瞬を狙うためには、正面写真撮影の準備を爆速で行う必要があります。
場合によっては、照明の位置を変えたり、三脚が欲しかったり、レンズ交換をしたかったり、そもそも撮影位置や画角を決めにくかったりするでしょう。なので、カメラマンは正面写真撮影に備え、インタビュー中もどのように撮影するかプランニングを終わらせておきます。
その上で、これは経験を積むしかありませんが、必要な準備をものすごいスピードで進めていきます。その日がラッキーデイであれば、カメラマンの準備する様子が物珍しくて、取材相手の気が紛れるかもしれません。
カメラマンはコミュ強であれ
いろいろなテクニックをご紹介しましたが、基本的にはカメラマンからぐいぐいとコミュニケーションを取っていく必要があります。取材相手はこの上なく緊張しているので、こちらがリードするしかないのです。私と同じく内気なカメラマンの方もきっと多いだろうと思いますが、撮影中だけでもコミュ強になれるよう、ぜひ上記のテクニックをご活用ください。