こんにちは、よしてるです。

いつまでも初心と向上心を忘れずにありたいことは前提として、約10年のライター生活の中で、それなりのライティングスキルは身についていると信じたいところです。

ではそのスキルはすべて仕事の中で身につけてきたのかというと、振り返ってみると、私の場合はどうもそうではなさそうです。大学時代に趣味で個人ブログの活動をしていたのですが、これがライタースキルやマーケティング視点のベースになっていそうだなと気づきました。

差し当たって今回は、ライタースキル(特にマーケティング視点)を身につける・高めていくためには、題材はなんでもいいので、趣味で個人ブログを書いてみるのが最強であるという説を、私の経験をベースにしつつ提唱してみようと思います。

どんなブログを書いていたの?

たいへん恥ずかしいのでURLはおろか題材や雰囲気も伏せさせてもらおうと思いますが、本当の本当に趣味だけで書いていたブログでした。

本記事では「ブログを書くことがライタースキル向上に最適」という説を展開していきますが、継続しなければ意味がないという点で、「趣味」であることも重要です。私は、もうだいぶ更新していないものの、正味9年は続けていました。

また、収益化もしていませんでした。始めた当時、ブログが金になるということをそもそも知らなかったというのもありますが、結果的によかったと思っています。

なお、収益化したほうがいいかどうかは人によって変わります。

私としては、収益化していたらそれがノイズになっていただろうなと思うので、純粋に趣味ブログを楽しみたいというのなら収益化はなしがおすすめです。「趣味ブログを書く」を手段ではなく目的にしたい場合ですね。

とはいえ、収益化することでがんばった結果がわかりやすく入ってくるので、それでやる気が出る人、課題解決に本気で取り組みたい人は収益化もありでしょう。この場合、ブログは目的ではなく手段になりますが、どちらにせよ続けられるほうがいいですね。

学び1:読者目線で書くと伸びる

さてブログを始めた当初、私は書きたいことを思うまま書き殴るだけで、今見返すと恥ずかしさで消滅してしまうほどひどい記事を量産していました。まぁ、趣味ブログですので、何も悪いことはありませんが。

あるとき、本当に幸運だったと思うのですが、あるコメントをいただきました。「こうするともっとよくなるんじゃないかな」と指摘する内容で、私はこのコメントをきっかけに「人に見られること」を意識するようになりました。

人に見られることを意識すると、アクセス数は驚くほど伸びていきました。たくさんの人に見てもらいたい、見てもらうからには工夫しなきゃ、という意識が常にあり、改善を繰り返していたことがよかったのだと思います。

読者目線(顧客目線)はマーケティングの基本

ライターのみなさんは実務を学ぶとき、読者の目線で書きなさい、と言われたことがきっとあるはず。あるいはマーケティングについて学ぶとき、商品づくりや施策には顧客目線が重要、ということを見聞きするはずです。

顧客との関係を重視し、顧客目線でのコミュニケーションを推進するCRM(顧客関係管理)は、マーケティングの基本の一つですね。

趣味ブログは書き殴るもよしですが、たくさんの人に見てもらいたい、という視点で試行錯誤していくと、それが上手くいったらアクセス数も伸びます。これはマーケティングに通ずるものですので、趣味ブログを書くことで、体感として読者視点・顧客視点を学べるでしょう。

学び2:トレンドは重要である

読者目線で試行錯誤し、それがアクセス数に反映されてくると、ブログ活動はかなり楽しくなってきます。そんな折、私は記事によってアクセス数にバラつきがあることに気づきました。

今思えば当たり前のことですし、きっとみなさんの多くも何を今さらと思われるかもしれませんが、トレンドのトピックスで書いた記事のほうが多くのアクセスを集めていたんですね。みんなが気になることは多くの人が検索するので、そのぶんヒットすることも多いわけです。

当たり前のこととはいえ、自分で書いた記事でこの差を知れると、実感としてけっこう大きな学びになります。

また、「できるだけ早いこと」もアクセス数を左右しました。インターネットの興味は瞬間的で、どんなトレンドもすぐに移り変わっていきます。1日でも早く、1時間でも早くそのトピックスの記事を投稿することで、多くのアクセスを集められました。

なおトレンドを追うことは、趣味であればほどほどにするのがおすすめではあります。私はトレンドを追うあまり、大学生活のわりと大きな割合を台無しにしました。

記事やマーケティングでもトレンドはやはり重要

改めて書くことでもありませんが、やはり重要です。特に早さに関しては、1時間単位で世界が変わっていきますので、常にアンテナを張り巡らせておく必要があります。

これを体感として知るためにも、趣味ブログはおすすめです。趣味であればアンテナを張るのもそれほど苦ではないので、アンテナの張り方の学習にもなるでしょう。

学び3:ニッチな需要に供給すると刺さる

トレンドに乗っかった記事以外にも、ニッチなトピックスを扱った記事も高いアクセス数を叩き出しました。学びとしては、ここからが本格的かなと思います。

これは驚いたことに、トレンドに乗っかった記事よりも上でした。

ニッチなので、当時調べたわけじゃないですが、検索ボリュームでいえばトレンドより少なかったはずです。しかし、このトピックスを扱うブログが少ないために、気になる人たちがギュッと集まってくれたというカラクリですね。

ブルーオーシャンを狙え

市場の規模を表す言葉として、すでに参入者が多くバチバチに競合しなければならない市場をレッドオーシャン、まだ参入者が少なく大きなシェアを獲得しやすい市場をブルーオーシャンと呼びます。ブログでニッチな需要に応えてアクセス数を総取りするには、このブルーオーシャンを探す必要があります。

難しいのは、「市場規模が小さいこと」とはイコールにならない点です。ある程度の市場規模が見込めること、あるいは成長の見込みがあることが重要であり、小さいだけの市場を狙うとリターンも小さくなります。

私のブログ活動で「これはニッチな需要に刺さったな」と感じたのは、「そのトピックスが気になる層」は多いものの、「界隈(つまりブロガー)で扱っている人は少ない」というものでした。こういう、トピックスとメディアのねじれがあるところに、大きなブルーオーシャンがあるのかもしれません。

ニッチなトピックスはどうキャッチする?

トレンドをキャッチすることはそれほど難しくありませんが、ニッチなトピックスとなるとかなり困難です。私の経験では、以下2点が重要かなと思います。

1つは、広いカテゴリをキャッチアップし続けることです。これはブログ活動を続けることがバッチリはまります。ブログを書くとなるとその題材に関連する情報を集めるようになり、自然とニッチなトピックスにも明るくなります。

もう1つは、その題材における専門的な内容を知ることです。ライターやマーケティングの仕事で重要になってくるのがこれです。例えばWeb記事を見てみると、トレンドに関する記事や入門となるような記事は溢れかえっており、早さで勝つかSEOや広告でがんばらないと成果にはつながりません。一方で、少し専門的な内容になると、一気に記事が少なくなります。ここは需要に応えられていない部分であり、ブルーオーシャンの可能性が高いでしょう。

学び4:本気で記事を書くとバズる

ライターとして、仕事としてメディアの運営やライティングに携わる場合、できれば「賢く」やりたいところです。費用対効果や業務の効率化は当然求めたいですし、カロリーの高い記事を書くよりはSEOや広告でスマートにアクセスを集めたいですし、なんなら近年はAIでトピックス集め・下調べ・アウトライン・下書きまで完了できちゃいます。

しかし、そんな賢さをかなぐり捨て、「本気で」書いた記事はバズります。

バズをわざわざ狙うことはマーケティングにおいてあまり推奨されませんが、ここでいいたいのは、本気で書いた記事は高い評価を得られやすいということです。結果として、バズがついてくることがあります。

私の場合では、あるときから、同じ題材でブログを書いている何人かのブロガーで集まって、1つの合同ブログを書いていたことがありました。界隈では、といっても狭い界隈でしたが、けっこう高い話題性を獲得できていたようです。

その合同ブログで、特に熱く語りたいトピックスがあり、心血そそいで記事を書き上げたところ、いわゆる「まとめサイト」に取り上げられてバズったのです。当時特に有名なまとめサイトの1つでしたので、なかなかの効果でした。

このトピックスはシリーズものでしたので、ある期間、大学の単位を犠牲にする勢いで書き続け、シリーズすべての記事が普段の10倍以上のアクセスを稼ぎました。本気で書いたからか、中身も評価されたようで、たくさんのコメントもいただきました。

バズには運要素が大きいので、わざわざ狙うものではないですが、本気で書いた記事は評価されます。これは「賢さ」を超えて、大きな資産になるでしょう。

学び5:長くがんばってたらファンがつく

趣味の個人ブログでファンというのも変な話ですが、長く続けてがんばっていたところ、いつもコメントしてくれる人たちが数人いました。これはファンという言い方でもきっと差し支えないでしょう。

マーケティングにおいては、ロイヤルカスタマーという言い方になりますね。ロイヤルカスタマーをいかにして囲い込むか、ロイヤルカスタマーとどれだけ長くいい関係を続けられるかが重要なわけですが、これには「長くがんばる」ことが一つ大きなウェイトを占めるのかなと思います。

仕事として、案件としてメディアを長く続けることは大変ですが、蓄積していくことでファンは確実に増えていきます。ちなみに「長く」だけではなく、「がんばる」の部分も重要です。「賢さ」だけでは、いくら長く続けても大した成果にはならないでしょう。

学び6:本作ったら売れた

出版社から出たわけでも、自費出版ということでもないのですが、前出の合同ブログのメンバーで本を作って同人誌即売会に殴り込んだところ、ちゃんと売れました。

これは学び5の「長くがんばってたらファンがつく」のたまものですね。メンバーみんなが「長くがんばってた」人たちですので、長くがんばるの相乗効果でたくさんのファンがつき、お金を出してもいいと思ってもらえるまでになれたわけです。

これはそのまま、メディア運営の黄金パターンに当てはまります。タダで閲覧できるWeb記事をコツコツ公開し続けてファンを作り、このメディア・ブランド・企業にはお金を落としてもいいと思ってもらえたら、次のステップへコンバージョンしてくれますね。

私のブログ活動は完全に趣味でしたので、本も別に売上を期待してのものではありませんでしたが、ライターになる前にこの経験ができたことはかなり貴重でした。

余談:あるファンの話

本は何回か作ったのですが、そのうちの1回で、創作に挑戦したことがありました。しかも、それまで触ったことのない、自分が購読することもほとんどなかったジャンルです。無謀というわけではなく、この本を制作するタイミングでは親和性が高く、挑戦する価値のあるジャンルだったのです。

本の制作は毎回大変でした。というのも、私は前述のとおり、ブログ活動でもときどき本気の記事を書いていたというのに、お金を出して買ってもらう本で半端なことはできません。これまでの自分の本気を超える必要があり、創作へのチャレンジはそのアプローチの1つでした。

何人かついてくれた私のブログのファンの中に、ぜひ買いに行きます!と言ってくれた方がいました。たいへん嬉しいことですが、胃袋ねじ切れるようなプレッシャーもありましたね。

有言実行で買ってくれたのですが、これは後から知ったのですが、その方はなんと、私が挑戦したジャンルの熱心なファンというじゃないですか。怖い怖い怖い怖い! 買って欲しいけど買って欲しくない!

しかし結果としては、そのジャンルの熱心なファンの視点で見てもよくできていた、との嬉しい感想をいただけました。

ほっと胸をなで下ろしましたが、これはきっと、本気で作ったことがよかったのだと思います。よくできていたといってもらえたとはいえ、実際には粗が多く、改善点はたくさんあったことでしょう。少なくとも、そのままそのジャンルの市場へ持ち込んで戦えるようなクオリティでは決してなかったはずです。

それでも評価してもらえたのは、本気で作ったことが伝わったからなんだろうと。実際に私は、この創作を行うにあたり、膨大な時間をかけて下準備を行い、これでもかというくらい原稿を見直し、本を一緒に作ったメンバーに厳しい意見を求めました。そうでなければ、買ってくれた方をがっかりさせていたでしょう。

何事も本気で取り組めば、評価はちゃんとついてくるものですね。

学び7:記事校正時のコミュニケーションは重要である

合同ブログではメンバーそれぞれが自由に記事を発信するのみでしたが、本ではそうはいかないので、各々が出した記事をクロスチェックしていました。

この経験が、実務の面ではけっこうダイレクトに活かされたと感じています。「文章を見るスキル」という点でもそうですが、「修正点を人に伝えるコミュニケーション」がかなり大きいですね。

「あ、これ、伝え方気をつけないと仲良しが終わる」と早々に気づけたのは幸運でした。当時、メンバーで大学生といえば私くらいで、若造がちょっとくらい失礼な物言いをしても気にせず流してくれるみなさんだったとは思いますが、誰しも自分が書いた記事にダメ出しを食らうのは面白くないものです。

「一緒にいいものを作っていきたいんだ」という気持ちでコミュニケーションを取る重要性は、社会人になってからも痛感する毎日です。

まとめ:みんなも個人ブログやろうぜ

将来ライターになろうと思ってブログを書いていたわけではまったくないのですが、結果的に大学卒業後はWebマーケティングを取り扱う会社のライター職に就き、個人ブログで培った経験を活かすことができました。こうやって思い返してみるとけっこう濃い経験でしたが、これだけ本気でやれたのは完全に趣味だったのが大きかったように思います。

というわけで「ライタースキルを身につけたいなら趣味の個人ブログやろうぜ」と提唱したいわけですが、私ほどのめり込む必要はありません。なんせ私はこの経験と引き換えに大学の単位を……ゲフンゲフン、これ以上はやめておきます。

仕事に関するスキルを、仕事の中だけで培っていくのは少々しんどいところがあります。仕事でプライベートを侵食することもよくないので、バランスが難しいところですが、ライターとして成長しAI時代にも求められる人材を目指すのなら、ぜひ仕事以外でのアウトプット……例えば趣味の個人ブログ運営を、ぜひご検討くださいませ。

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