こんにちは、よしてるです。

いいレンズを無限に買いたくて抑えつけるのが大変です。

仕事のスキルアップの話をするとき、「質より量」とはよく聞きますが、「量より質」とはなかなか聞きません。質のことを考える前にとにかく量をこなせ、すると自ずと質になる……というのが一般的な理解でしょうか。筋トレは「量より質」なのに、不思議なものです。

とはいえ、私自身もおおむね賛同するところです。これから仕事のスキルを身につけたいのなら、まずはとにかくなんでもいいので「量」をこなしましょう。勝たんしか量です。

私よしてるはカメラマンですので、今回は、私がカメラマンの駆け出しの頃、いかにして量をこなしたのかをご紹介したいと思います。

よしてるって誰?

カメラマン歴は8年くらい。仕事では取材写真、商品の物撮り、モデル撮影、演劇のキービジュアル撮影などを経験。

趣味ではネイチャー写真や街スナップ・料理スナップをメインにシャッターを切り、ネイチャー写真では特に滝を愛する。訪れた滝の数は執筆時点で333。

仕事で得たスキルを趣味写真に活かし、趣味写真で得たスキルを仕事に活かすサイクルで、1億総カメラマン時代の中どうにか隅っこで生き残る。

私がワラにも屑にもタンポポの綿毛にもすがって生き残ってこられたのは、カメラを始めた当初にがむしゃらに「量」をこなしたからです。

これからカメラを始めたい人、始めたばかりでスキルアップの手段を探している人はもちろん、仕事で誰かに求められるスキルを身につけたい方はぜひ参考にしてみてください。

余談ですが

いきなり余談ですが、質より量といいつつ、私は量より質もあっていいと思っています。何事においても唯一無二の解決策はありません。

みなさんは『ダイヤのA』という野球漫画をご存じでしょうか?

この漫画に登場する3年生の4番でキャプテンがいるのですが、練習シーンにて、1人すみっこでバットを構えてひたすら瞑想し、突然カッと目を見開いてブンと一振り、「いい練習だった」と汗を拭って去っていくのです。

現実にはあんまり思いつかないけど、こんなスキルアップがあってもいいと思いますね。

量をこなすスキルアップ:業務日報で毎日写真を添付

私がカメラスキル向上のためにやったことは、会社の業務日報にて毎回、なんらかの写真を添付し続けるチャレンジです。

ポイントは以下です。

・カメラ買う前にスタート
・約1年半、(記憶の限りでは)一度も落とさずに継続
・スマホ写真も全然あり、継続こそ命
・重要なのは人に見られる意識

思い返してみると、よく続いたものでした。しかも本格的なカメラを買う前からスタートしています。確か、カメラを買うことは決意していて、それまではスマホで撮っていた記憶です。

発表の場に日報を選んだのは、単純に私が当時SNSをやっていなかったというだけなのですが、結果的にかなりいい選択肢だったと思います。

日報は、仲のいい人だけでなく、特に仲よくはない人も見ます。一方、SNSを見る不特定多数よりは近く、緊張感としてはなかなかです。オフィスのよく知らない奴が色気を出して「毎日写真貼ります!」とか言ってたのに、いつの間にかやらなくなったらどう思います?

とにかく何か撮る意識

変な話、週末にどこか出かけて写真を5枚も撮れば、次の週の日報チャレンジ分はストックできます。しかし、そう上手くはいかないものです。いかなカメラマンとはいえ、毎週どこかへ出かける体力はありません。

そうなると、平日だろうと何がなんでも撮る必要があります。一眼カメラを買ってからはもちろんなるべく持ち出していましたが、スマホでもガンガン撮っていました。いつも手元にあるスマホは最強のカメラです。何も撮らない期間を作ることをとにかく避け、毎日同じルートの通勤時間でも必死にキョロキョロしていました。

なお、何がなんでも日報に貼るというチャレンジですが、ハイビスカスの別アングルの写真5枚を月曜~金曜で貼るというのはさすがにアウトです。同じ被写体が連続するなら、テーマを変えたものでなければスキルアップにはなりません。最大の敵はネタ切れです。

そんなわけで、この日報チャレンジをしていた約1年半、いつもカメラの仕事があったわけではないものの、写真については途切れない成長を実現できたと実感しています。

具体的に何がよかったの?

例えば、写真のスキルアップを図りたいとき、本を読む・Webで調べる・写真学校に通う・プロに師事するなどして、すでに確率された知識や技術を学ぶ方法もあります。これもありでしょう。量より質のスキルアップは、人類が積み重ねてきた近道であり、即戦力への大きな一歩です。

じゃあ、質より量のスキルアップであっちこっち寄り道する過程は、具体的にどんな成長をもたらしてくれるのでしょうか。

一番にいえるのは、「バリエーション」です。写真の表現には一生をもっても網羅しきれないほどのバリエーションがあり、どれだけモノにできるかで引き出しの数が変わってきます。ときには何がなんだかわからない写真も撮りますし、日報に貼った中にも「もっとなんかできるだろう」と後から思うクオリティの写真もありましたが、そんな寄り道も今やすべて私の血肉です。

途中から旅行記にグレードアップ

日報チャレンジを約1年半続けたと書きましたが、私はもう少し長くこのオフィスに勤めていました。ではそのあと何をしていたのかというと、毎日1枚貼るのではなく、旅行記にグレードアップしました。

ここまでくると日報で書いていいものかどうか怪しくなってきますが、許される社風だったのは幸運でしたね。まぁ、特に許可も取らず勝手に続けていたので、もしかしたら目をつけられていたかもわかりませんが。

日報チャレンジを約1年半続けた結果、マンネリというわけじゃないですが、もう少し何か踏み込みたいと考えるようになりました。そこで、テーマに沿って旅行記みたいな内容のコンテンツを日報に載せるようになったのです。ブログのような感じですね。あ、もちろん、業務報告や振り返りもちゃんと書いていましたよ。

本当に旅行に行ったあとの旅行記もありましたし、週末どこかへ行ったときのレポもありました。たくさんの写真を必要とすることで、1日1枚とはまた違うアウトプットになったように思います。

こんな写真を貼っていました

そんなこんなの日報チャレンジですが、仲のいい数人からはリアクションをもらえることがあっても、大多数がどんな気持ちで見ていたのか、上司がどう評価していたかは正直わからずじまいです。まぁ、こういうのは自己満足でもいいのです。

さて、せっかく毎日写真を貼っていたという話をしましたので、いくつか紹介してみようと思います。

↑これは記念すべき第1号です。それなりに綺麗ですがしっかり手ブレしています。

↑これもスマホで撮ったもの。夏の風景を切り取れて、お気に入りです。

↑本ブログの私のアイコンは、この写真を撮っているときに後ろから撮られたものです。

↑ふと振り返って、0.5秒で撮ったスナップ。

↑スナップも好きですが、当時から風景写真が一番好きでした。風景を撮り続けて実感しているのは、いい風景写真を撮るために一番大事なことは「そこへ行くための足とお金と時間」です。

↑尊敬できる人にたくさん出会える幸運な人生ですが、その1人をパシャリしたもの。しばらく会ってないなぁと、いま本記事を書きながら哀愁に駆られているところです。

質を底上げするスキルアップ:突然オフィスで写真展を開催

10歩くらい踏み込んだスキルアップとして、オフィス内で写真展を開いたこともありました。それも、カメラを始めた最初の年です。自分ごとながらこれは、よく思い切ったと褒めてもいいように思います。

きっかけはある上司の言葉

当時の上司の1人が、月イチの大きな朝礼にて「みなさん今年は何か1つ、『自分史上最高』を目指してみませんか」と呼びかけたんですね。

強制力はないものでしたが、私はこれに乗ることにしました。そして本当に突発的に、特に何も考えずに「今年オフィスで写真展やる!」と書いて提出したのです。提出してしまえばもう逃げられません。

そして約半年が過ぎた12月ごろ、オフィスのセンター長から許可をもらい、みんながお昼に使う休憩スペースを借りて写真展を開催しました。

ぜんぶ手探り

写真展作りはぜんぶ手探りでした。これは現在も続く私の課題の1つなのですが、私は自分が写真を撮るのが好きなだけで、人の写真を見るのはそんなに好きではないのです。当時は写真展に行ったことがなく、自身の展示のために写真展を見に行って勉強するということもしませんでした。

結果的に、純度100%よしてるが出せたかもしれないので、初回としては間違いではなかったかなと思っています。

写真の現像自体ほぼ初めて、どこに行けば額縁が買えるのかもわからない、そんなヒヨコでしたが、どうにかこうにか作り上げました。大小さまざまな写真を織り交ぜ、45枚ほどの展示。当然すべて自己投資であり、もろもろで1万5,000円くらいかかった記憶です。

驚くほどのメリットまみれ

突然オフィスで写真展を開いてしまった私ですが、結果的には驚くほどたくさんのメリットがありました。

人に見せる難しさを知る

日報チャレンジも人に見せるためのスキルアップでしたが、比ではない難しさでした。

日報チャレンジでは、一番下の自由欄を使っていましたので、特に見たくない人や忙しい人は飛ばしてくれたらいいのです。しかし、休憩スペースを借りて開催する写真展はそうはいきません。否が応でも全員の目に入るので、「ちゃんとしなければ」という緊張感でおかしくなりそうでした。

この難しさを経験できたことは本当に大きかったと思います。

展示の構成を作るの難しすぎる

さてその展示の内容も、想像を絶する難しさでした。日報の後ろにペッと添付すればいい日報チャレンジやSNSへのカジュアルな投稿の、なんと簡単なことか!

額はどんなのを使ったらいい?

写真のサイズは?

どの壁に何枚貼れる?

余白はどこまで取ったほうがいい?

順番は?

タイトルってつけるの?

あまりにも自由すぎて、何から手を付けていいのやら状態。インターネットのぺらぺらな世界に生きる現代人として、リアル展示を作り上げることは相当な成長の強度があります。

写真は現像するとディスプレイと印象が違う

当たり前かもしれないけど、当時は驚いたものでした。具体的にいえば、全体的にディスプレイの印象より暗くなります。

プロの印刷屋さんに依頼すればOK、とはいかないことを学べました。

額縁って重すぎない?

スタンドで立てるなら気になりませんが、壁に展示したいと思ったとき、とたんに重さ問題が浮上。

このときは、小さい写真は両面テープで貼り、大きい写真は細い鎖を買ってきてパーテーションの裏側から吊るという方法を採りました。なぜ鎖なのかは謎です。

なお、展示を撤収するとき、両面テープが強すぎてパーテーションの表面の一部を剥がしてしまったことは内緒です。

見た人から直接評価を得られる

よく話す人が直接感想を言ってくれることはもちろん、見ている人のリアクションも否が応でも目に入ります。これは日報チャレンジでは得られない経験で、大変貴重なものでした。

終了後にはGoogleフォームでアンケートを取るということもしました。身内がやるこういうのにネガティブ意見をつけるのは相当難しいことだと思いますが、「こうしたほうがよかった」的なコメントももらうことができ、嬉しかったですね。

自分の課題が見えまくる

直接もらえる意見はもちろん、展示を作っていてぶち当たったこと、できると思っていたのにそうじゃなかったこと、スペースをお借りするからにはどんな配慮をするべきか、技術的には何が足りていないのか……。

驚くほど多くの課題が見えまくって、大変目が回りました。

誰がどう見ても自分史上最高である

上司が掲げた「自分史上最高」のスローガンは、達成できたかを評価するには少し工夫が必要でした。

というのも、自分史上最高は定量・定性でいうとかなり定性的です。このスローガンに乗っかるには、やりたいこと対して自分で定量的な目標を定める必要があります。あるいは、誰が見てもインパクトのある結果を残すかですね。

これからカメラを頑張ろうという1年目の素人が、スマホ写真からスタートし、日報チャレンジを続け、1年目のうちに写真展を開催する。これをして「いや、まだ最高じゃないのでは?」とケチをつける人はきっといないでしょう。

人気だった写真、不人気だった写真

写真展ではアンケートを取ったので、人気の写真・そうでない写真が浮き彫りになりました。少しだけ紹介させてください。

【2位】

キツネ園に遊びに行ったのに、朝早すぎてみんな眠そうで残念だったのですが、寝顔はクソ可愛くて人気でした。

【1位】

北海道の青い池。ド定番映えスポットですが、ド定番が1位を取ってしまい、当時少し悔しかった記憶があります。同じ風景写真でも、お気に入りは他にたくさんあったんですけどね。

【最下位タイ】

オフィスのハロウィンイベントにて。構図を工夫したのですが、イマイチ刺さらなかったようです。

【最下位タイ】

可愛い花の写真がまさかの最下位で、意外でした。いい被写体を撮ればいい写真になるわけではない、大きな学びの1つでしたね。

新しいスキルを求め、よしてるはアイスランドへ

そんな駆け出し時代も過ぎ去り、いっぱしにクライアントを持つようになって、成長曲線はいつの間にか安定飛行へ。

ここでひとつ大きな階段をよじ登るため、よしてるはアイスランド遠征を決意しました。

初めての撮影体験の連続により右往左往する予定です。

今回は、よしてるが駆け出しカメラマン時代に何をしてスキルを上げたのか、大きな2つの取り組みをご紹介しました。特に駆け出し時に重要なのはやっぱり「量」、私の場合でいう日報チャレンジです。もちろん、大きな挑戦に取り組んで成長の底上げを狙うことも有効です。

ぜひ、スキルアップ時に量をこなすための参考にしてもらえればなと思います。

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