こんにちは、よしてるです。
本記事のトピックとは真逆の話ですが、旅行後にオフィスにお土産を持っていくのが好きでした。定番を絶妙に外しつつ、食べてみたい人がみんな取っていく頃にはちょうどなくなるような数を狙って買っていましたね。

さて本記事では、お土産好き泣かせのメタバースオフィスの話をしてみようと思います。

もうリモートワークからオフィスワークへの回帰が進んでいる昨今かなとは思いますが、リモートワークでメタバースオフィスを導入したいとなった場合、どうするのが正解なのでしょうか。

一度経験した私の結論としては、「もう1台のPCが必要」です。

リモートワークのチームワーク問題

私が以前務めていた会社で、試験的にメタバースを導入してみたことがありました。立ち上げ時から完全リモートワークの会社だったのですが、メタバースを入れることでどんな効果があるのか試してみたという感じです。

リモートワークには、もう方々で語り尽くされているかとは思いますが、チームワーク問題があります。個々の仕事は問題なく進められるにしても、協力が必要なシーンにおいてはオフィスワークと比べて一段も二段もタイミングが遅れてしまう…といったところでしょうか。

オフィスワークに切り替える選択肢が難しいのなら、解決策として真っ先に浮上してくるのがメタバースオフィスの導入でしょう。コロナ禍で一気に広まり、2024年現在、オフィスワークへの回帰によって失速している印象ですが、メタバースは今後重要なツールになっていくと思われます。

メタバース導入してみた

というわけで、前職でもメタバース導入で業務を効率化してみよう、という試みが行われることになりました。

私の前の会社は従業員数が20人弱の小さい会社で、立ち上げ時から完全リモートワークでした。会社としてオフィスワークの経験はないので、リモートワークをしていて不便だと感じることは特になかったものの、協力したいシーンでタイミングが遅れてしまうことは多々あったように思います。

社長が試してみたいと言い出したときは、お試しならと、従業員の反応は悪くなかったように思います。業務効率化という目的以外にも、ITを扱う会社なのだからメタバースを体験しておくのは悪くないという目的もあって、これは導入した時点で達成されましたね。

導入したメタバースオフィスでは、以下のようなものでした。

・特別な機器は必要としない
・アバターのちょっとしたカスタマイズが可能
・マイクをオンにすることですぐに会話開始
・オンラインか離席中かのステータス表示
・ルームを分けての会議機能(他のルームに音声が漏れない)
・チャット機能

メタバースオフィスは意外とよかった

私の感覚としては、導入前の印象以上にメタバースオフィスは好感触でした。「体験してみたね」で終わりかなと思っていたものが、どの企業も積極的に試してみるべき、と思うくらいには好意的です。

すぐに相談できる

メタバースオフィスを導入する目的と見事に合致するポイントですが、すぐに相談できる点はかなり大きかったです。

外に出ることが多いメンバーもいたものの、基本的にはみんなオンラインですので、何か相談したいことや聞きたいことがあったらすぐに話しにいけました。

特に私は、入社したばかりの新人に業務を教えていた時期でしたので、質問を受けるほうとして重宝しました。この気軽さは、オフィスワークに近しいものがあります。さらに言えば、オフィスだと忙しそうにしていると話しかけづらいという問題がありますが、メタバースだとそれがわからないのでなお話しかけやすいという側面もあるかもしれません。

特に重要ではないけど一応聞いておこうかな、という程度の話題を気軽に出せることもメタバースオフィスの利点です。そこから話が広がって「話しておいてよかった」となることもありました。リモートワークをしている企業のほとんどはチャットツールを導入しているかと思いますが、チャットではこのレベルのやり取りは発生しません。

マイクは基本ミュートで生活の漏れ感はない

メタバースオフィスを導入すると、業務時間中は原則オンラインとなりますが、マイクは基本ミュートにできます。オンにしている間だけこちらの声が通る仕様なので、生活の漏れ感に関してはほとんど感じませんでした。

目的ごとにルームを分けられる

地味に便利なのがこれでした。最初にいくつかルームを作っておけば、何人かで集まって話をしたいとき、そのルームを使うことで会議ができます。これ自体はチャットツールなどでも再現は可能ですが、メタバースオフィスでは視覚的に「部屋を移動する」ことになるので、オフィスにいる感覚で会議に臨むことができます。

遊べる

意外に重要かもしれません。どのメタバースオフィスを導入するかによっても変わるかもしれませんが、たいていはエモート(拍手やお辞儀などのアバターの動き)が実装されているので、それを使って遊べます。

これはそのうち飽きるかもしれませんが、新人が入ってきたときのコミュニケーションにもなり、仕事に余裕を持たせることができそうです。

オフィスにいる感がある

本当のオフィスとはさすがに違うものの、メタバースオフィスにも「オフィスにいる感」がありました。

チャットツールでは正直、誰が出勤しているのかもよくわからなかったのですが、メタバースオフィスなら誰がいるのかひと目でわかります。気軽に話しかけられるので、家で1人さみしく仕事している感も薄れます。私はけっこう、仕事の合間にいろんな人に話しかけて雑談していました。

でもメタバースオフィスは終わってしまった

いろいろなメリットが感じられるメタバースオフィスだったのですが、試用期間を経て社内でアンケートを取ったところ、満場一致でナシになってしまいました。私もナシに票を入れた1人です。

意外と話すことがない

ナシになった理由の1つがこれでした。これは、この会社がそれぞれの仕事は個人で完結できるような体制だったことが大きかったように思います。

チームで協力したり、上司と相談したりしながら進める仕事がほとんどないために、そもそもリモートワークがハマっていたというのがこの会社。そういう仕事もあるにはあるものの、試用期間で大きなメリットを感じられるほどではなかったんですね。

私としては新人指導に重宝したのですが、そのタイミングでなければ他のメンバーと同じ感想だったでしょう。

PC環境を圧迫してしまう

決定打となったのはこれでした。これは事前に予想できたことですが、やはりそうなってしまったというところです。

まず、PCのメモリ圧迫問題があります。3Dアバターのメタバースオフィスが現在あるのかはちょっと知らないのですが、3Dはメモリをガンガンに食らうので論外です。2Dだとしても、一定のメモリは必要となるため、PCの作業スピードに影響します。

特にこの会社ではPhotoshopなど高負荷のアプリを扱うメンバーも多く、メモリ圧迫は深刻でした。

また、仮にメモリは問題なかったとしても、PCのディスプレイ上の作業スペースを食ってしまう問題があります。

これは、ウィンドウを独立させて普段は後ろに隠しておけばいい、という話でもありません。PCで仕事をする人は、それぞれ普段どのくらいのアプリやウィンドウを立ち上げているかのルーチンがあるかと思いますが、メタバースオフィスを導入することでこれが1つ増えます。これは、思った以上に脳のリソースを食います。そのため、たとえ普段は後ろに隠していたとしても、ディスプレイ上の作業スペースを食われている感覚があり、パフォーマンスに影響してしまうのです。

メタバースオフィスを導入するのなら、この小さくはないデメリットを許容する必要が出てくるでしょう。

ではどうすれば快適なメタバースオフィスになるのか?

私がメタバースオフィスを経験した会社の特性では、そもそもメタバースオフィスによる恩恵が少なかったですが、企業によっては大きな恩恵が得られることもあるでしょう。例えば、ある程度の人数がいたり、チームで協力するタスクが多かったり、頻繁に上司への相談が発生したりするケースなら、メタバースオフィスはリモートワークの効率を大きく上げてくれるはずです。

ただし、PC環境圧迫の問題がのしかかります。これは、本記事のタイトルですでに結論を述べているとおり、「もう1台のPC」を用意することで解決します。

途中からよしてるは2台体制にしていた

「そんなの実現不可能だ」と思わず、もう少々お付き合いください。

前職の会社では自前のPCでの仕事が可だったこともあり、私は途中からPC2台体制に移行しました。もともと、主に家で使うPCと主に外で使うPCを分けていたのです。

1台は普通に仕事をして、1台はメタバースオフィス専用に。こうすることで、驚くほど快適なメタバース環境が構築できました。

PCのメモリを食うことはもちろんありませんし、ディスプレイを分けることで脳のリソースが持っていかれることもありません。これはメタバースオフィスの最適解だなと、強く感じたものでした。

実現可能なのか?

ただもちろん、PC2台体制の構築は難易度が高いこともわかります。メタバース用のPCは低スペックのものでも問題ありませんが、それでも費用は2倍弱であり、会社が支給することも難しいでしょう。

次善策としては、「サブディスプレイ」を用意することも有効だと思います。ディスプレイが2つに増えるだけでも、脳のリソースを分散することができ、メタバースオフィスの快適さが向上します。

ただ、操作するPCは同じなので、2台体制と比べると効果は薄くなるでしょう。高負荷のアプリを普段から使っている場合は、もちろん解決策にならなくなります。

なのでやはり、本格的にメタバースオフィスを導入し、社員が快適に仕事できるようになるには「もう1台のPC」が必要なのです。

「一度試してみる」はおすすめ

ちょっと結論としては非現実的なものになってしまいましたが、メタバースオフィスを経験した上で、「もう1台のPC」が環境を快適にすることは間違いありません。

ただ、このデメリットを受け入れてなお有り余るメリットがあるのであれば、リモートワークにメタバースオフィスを導入することは十分アリです。PC作業が中心となるリモートワークであれば、テクノロジーに触れておくことは決して無駄ではなく、「一度お試しで導入」は強くおすすめできます。

直近のニュースでいうと、メタバースとはまた違いますが、Meta社がARグラスのプロトタイプ「Orion」を発表して話題になりました。ARやVR、ひいてはMRは、そろそろ技術の見本市的なところから生活に溶け込めそうなレベルまで進化してきそうです。

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