「それ、いいね!」が飛び交う創造性あふれる組織の作り方
皆さん、こんにちは! LOVELETTER WORKS 株式会社の篠原です。
人事コンサルタントとして、色々な企業様の採用のお悩みごとを聞いていると、
「採用時は間違いなく活躍すると思った人材なのに、いざ仕事を始めてみると、思うように力を発揮できていないように見える」
「チームになかなか馴染めず、孤立しているように見える」
といった声をよく耳にします。
せっかく素晴らしい才能を持った人材を採用できたのに、その能力を活かしきれていないのは、本当にもったいないことです。
長らく採用に携わって思うのは、「採用」と「組織作り」は両輪であるということ。どんなに優秀な人材を採用しても、組織の土壌が整っていなければ、その能力は開花しません。
仕事は、多くの場合、個人競技ではなく団体競技です。だからこそ、個々の能力を最大限に引き出し、相乗効果を生み出す組織づくりが重要なのです。
では、どうすればそんな組織を作れるのでしょうか?
まずは、創造性を育み、年齢や立場を超えて全員がアイデアを出し合える組織を目指してみませんか?
そのためのポイントを、私の経験を踏まえてまとめました。
目次
「言っても大丈夫」「言うことが楽しい」組織を作る
では、どうすればチームの創造性を高め、アイデアが溢れ出すようにできるのでしょうか?
結論から言うと、必要なのは以下の2つです。
1. 「言っても大丈夫」という安全性(心理的安全性)
2. 「言うことが楽しい」という条件付け(オペラント条件付け)
1. 心理的安全性:安心して発言できる環境を作る
心理的安全性とは、「自分の意見やアイデアを、周りの人に遠慮なく言える雰囲気」のこと。
「こんなこと言ったら、バカにされるんじゃないか…」 「先輩や上司に反対意見を言ったら、評価が下がるんじゃないか…」
こんな風に感じてしまうと、人は発言することをためらってしまいますよね。
心理的安全性が低いチームでは、メンバーは沈黙しがちになり、斬新なアイデアも生まれにくくなってしまいます。会議で意見を求めても、誰も発言せず、重苦しい雰囲気が漂う…なんてことも。
逆に、心理的安全性が確保されているチームでは、メンバーは自由に発言し、活発な議論が生まれます。
私が以前関わった組織では、毎週の定例MTGの最後15分程時間をとって、仕事にまったく関係無いトピックについて、相談したり、シェアしたりする機会を設けていました。
トピックは、なんでもOK。
例えば、
- 引越しを考えているけど、物件に求める条件の優先順位をどうつける?
- 読書は紙派?電子書籍派?
- 最近面白いと思った映画は?
など、まずは、たわいもない話を気軽に共有する場を設けることで、メンバー同士の距離が縮まり、心理的安全性を高めることができました。
その結果、業務に関する議論でも、以前よりも活発な意見交換が行われるようになり、チーム全体の雰囲気が大きく改善されました。
2. オペラント条件付け:「言うこと」を楽しい経験にする
オペラント条件付けとは、簡単に言うと「ある行動をとった時に、良いことが起こると、その行動を繰り返すようになる」という心理的なメカニズムのこと。
あなたの後輩が、新しい資料作成の仕方を提案してくれたとします。
その時に、「すごいね!その方法、すごく効率的だね。みんなに共有してよ!」と褒め、感謝の気持ちを伝えたとしましょう。すると、後輩は「認められた!」「役に立てた!」と喜びを感じ、さらに積極的にアイデアを出してくれるようになるでしょう。
このように、チームの中で「アイデアを出すこと=楽しい経験」「貢献できる経験」という条件付けを作ることが重要なのです。
心理的安全性とオペラント条件付け:2つのバランスが重要
創造性を高めるためには、心理的安全性とオペラント条件付けの両方が必要です。
心理的安全性 | |||
高い | 低い | ||
オペラント条件付け | 高い | 理想的な状態!安心して発言でき、かつ、発言するモチベーションも高い | アイデアを出したいけど、否定されるのが怖くて言えない… |
低い | 安心して発言はできるけど、モチベーションが上がらない… | アイデアが生まれにくい発言もしにくい |
心理的安全性が高くても、オペラント条件付けが低いと、安心して発言はできるけど、モチベーションが上がらず、メンバーの能動性は高まりません。
逆に、オペラント条件付けが高くても、心理的安全性が低いと、アイデアを出したいけど、否定されるのが怖くて言い出せず、萎縮して働くこととなります。
創造性を働かせるためには、どちらもバランス良く揃っている必要があります。
では、具体的に日々どのようなアクションを起こせばいいのでしょうか?
具体的な行動:仕組みづくりと日々のコミュニケーション
ここでは、具体的な方法を2つのカテゴリーに分けて、明日からできる具体的なアクションをまとめました。
1. 仕組みづくり
組織として、従業員が安心して発言・行動できる環境を整備することが重要です。
- アイデアを出しやすい場を作る
- 定期的なアイデア会議: 毎週15分程度の短い時間でも良いので、チームでアイデアを出し合う時間を設けます。議題を決めずに自由に意見交換する時間を設けるのも良いでしょう。
- オンラインツールを活用: チーム専用のチャットグループや掲示板を作成し、いつでも気軽にアイデアを共有できるようにします。オンラインツールを活用することで、時間や場所にとらわれずに意見交換が可能になります。
- アイデアコンテスト: 定期的にアイデアコンテストを開催し、優秀なアイデアを表彰します。従業員のモチベーション向上に繋がり、斬新なアイデアが生まれる可能性も高まります。
- ブレインストーミング: 特定のテーマについて、自由に意見を出し合うブレインストーミングセッションを実施します。異なる視点からの意見を取り入れることで、より良いアイデアが生まれる可能性があります。
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 簡単なタスクから任せる: 新しい業務やプロジェクトに携わる際には、まずは簡単なタスクから任せることで、成功体験を積ませます。
- 段階的に難易度を上げる: 徐々にタスクの難易度を上げることで、従業員の成長を促し、自信をつけさせます。
- フィードバック: タスク完了後には、良かった点、改善点などを具体的にフィードバックすることで、更なる成長を促進します。
- メンター制度: 上司や先輩社員がメンターとなり、新入社員や若手社員の育成をサポートします。メンターからの指導やアドバイスは、従業員の成長を加速させます。
- 目標達成をみんなで喜ぶ
- 達成会: チームで目標を達成したら、食事会やレクリエーションなど、みんなで喜びを分かち合う場を設けます。
- 表彰制度: 優秀な成績を収めた従業員を表彰する制度を設けます。表彰は、従業員のモチベーション向上に大きく貢献します。
- 社内報: 目標達成事例を社内報で紹介し、全社的に共有します。成功事例を共有することで、他の従業員のモチベーション向上にも繋がります。
2. 日々のコミュニケーション
日々のコミュニケーションの中で、以下の点を意識することで、心理的安全性を高め、オペラント条件付けを促進することができます。
- 「ありがとう」を伝える: 感謝の気持ちを伝えることは、相手との信頼関係を築く上で非常に重要です。
- 褒める: 良い行動や成果に対しては、具体的に褒めることで、その行動を強化します。漠然とした褒め言葉ではなく、「○○さんの提案のおかげで、顧客満足度が向上しました」のように、具体的な行動と成果を結びつけて褒めることが重要です。
- 共感する: メンバーの意見に耳を傾け、共感する姿勢を示すことで、安心して発言できる雰囲気を作ります。
- 笑顔で接する: 笑顔は、相手との距離を縮め、安心感を与えます。
- ポジティブな言葉を使う: 「大丈夫」「できるよ」「すごいね」など、ポジティブな言葉を積極的に使うことで、相手を励まし、自信をつけさせます。
組織の活性化のために忘れてはいけないこと
今回は、創造性を高めアイデアが溢れる組織を作るためのポイントとして、「心理的安全性」と「オペラント条件付け」をキーワードにまとめてみました。
ご紹介した具体的なアクションの中には、日々皆さんが行なっていることも多いのではないでしょうか?
その中でも、私が個人的に大切だと考えているのは、チームに参加したばかりのメンバーだけでなく、長くチームに貢献してくれているメンバーにも改めて感謝や賞賛の声かけをすることです。
人は慣れてくると、つい「できていること」を当たり前と捉えがちです。そして、できていないことや、もっとやってほしいことに目が向き、ついネガティブな言葉を発してしまいがちになります。
しかし、改めて「いつもありがとう」「こういうところが助かっている」など、感謝や賞賛の気持ちを伝えることで、メンバーの自己重要感は高まります。
その結果、メンバーは「自分は組織に必要とされている」「自分の仕事は認められている」と感じ、今まで以上に組織の中核として力を発揮してくれるようになるはずです。
ぜひ、今日からでもこれらのポイントを意識し、創造性と活力に満ちた組織作りを目指しましょう。