採用CX設計の3ステップと3つのポイント:企業と候補者の最高の出会いをプロデュース
みなさん、こんにちは。LOVELETTER WORKS 株式会社の篠原です!
私はマーケティングと人事、両方の仕事をしていますが、どちらも「相手を理解して、相手が求める価値を提供して、望む行動をとってもらうこと」がミッションだと考えています。
人が価値に感じる対象は多様化しており、昔は「モノ消費」が主流でしたが、今はサービス体験を楽しむ「コト消費」、特別な時間を共有する「トキ消費」、社会的な意義に共感する「イミ消費」、そして感情を揺さぶる「エモ消費」まで、消費行動が多様化しています。
例えば、誰もが知るあの有名なテーマパーク。
チケットを手にした瞬間のワクワク感、人気アトラクションに乗った時の満足感、迫力満点のショーを見た後の感動、そして「この体験を誰かに話したい!」そんな共有したい気持ち。
これらは、徹底的にユーザー体験を考え抜いているテーマパークだからこそ生まれる感情であり、私たちが「行ってよかった」と心から思える理由ですよね。
そして、このような「体験価値」は、私たちの消費行動だけでなく、就職・転職活動にも影響を与えています。
給与や福利厚生といった分かりやすいメリットだけでなく、企業文化や働き方といった「コト」、選考過程での特別な「トキ」、企業理念への共感という「イミ」、そして入社後の成長への期待という「エモ」まで、候補者が採用フローを通じて受け取る価値はさまざまです。
つまり、採用は単なる手続きではなく、候補者にとっての一つの重要な「体験」です。 そして、この「体験」の質を高めるための概念こそが「採用CX(Candidate Experience)」という考え方です。
この記事では、候補者の心に響く採用CXを作るための具体的な方法と、私が採用CX設計を
行う上で大事にしているポイントをまとめてみようと思います。
目次
採用CXが企業の未来を左右する理由
採用CXは、単に候補者を喜ばせるだけのものではありません。 現代では、商品を買うときだけでなく、企業を選ぶときも、人は「モノ」以上の価値を求めています。 だからこそ、採用CXは企業の成功に欠かせない要素なのです。
1. 優秀な人材を獲得しやすくする
優秀な人を採用したい企業が多い中、魅力的な採用CXは大きな武器になります。 企業の理念に共感したり、入社後の成長を期待できる採用体験は、候補者の心を動かし、入社したい気持ちを高めます。
2. 企業のファンを獲得する
採用CXは、企業の良いところを伝えるチャンスです。 面接や選考で丁寧に対応したり、企業の考え方をしっかり伝えることで、候補者に良い印象を与え、企業の評判を上げることができます。
3. 入社後の活躍を後押しする
採用CXは、入社後のやる気にも繋がります。 入社前に良い体験をしてもらうことで、入社後のギャップを減らし、長く働いてもらえる可能性が高まります。
4. 採用コストを抑える
採用CXを良くすることで、採用活動もスムーズになります。 候補者とのコミュニケーションを大切にすることで、選考を辞退する人を減らし、採用にかかるお金を抑えることにも繋がります。また、採用体験が良いと「この会社を人に勧めたい」という思いにも繋がり、リファラル採用を推進することができます。
採用CX設計の流れ: 候補者体験をデザインする3つのステップ
採用CXの設計は大まかに以下3ステップに沿って進めます。
ステップ1: 理解する
- ペルソナ設定: 理想の候補者を具体的にイメージし、ペルソナを設定します。年齢、性別、スキル、価値観、ライフスタイルなどを詳細に定義することで、彼らの視点に立った採用CX設計が可能になります。
- カスタマージャーニーマップ作成: 応募から入社までのプロセスを可視化し、各段階での候補者の行動、思考、感情を分析します。これにより、改善すべきポイントや提供すべき体験を明確にできます。
- 現状分析: 既存の採用プロセスを評価し、候補者からのフィードバックを収集します。現状の課題や改善点を把握することで、より効果的な採用CX設計に繋げることができます。
ステップ2: 設計する
- 採用理念の策定: 企業の理念やビジョン、求める人物像を明確化し、採用活動全体の方向性を定めます。
- 体験価値の定義: 候補者に提供したい体験価値を具体的に定義します。ワクワク感、安心感、達成感、共感、感動など、感情に訴えかける体験価値を設定することで、候補者の心を動かす採用CXを実現できます。
- タッチポイント設計: 応募から入社までの各段階におけるタッチポイント(接点)を設計します。ウェブサイト、求人情報、応募フォーム、面接、内定通知、入社前 onboarding など、全ての接点において、一貫性のある体験を提供することが重要です。
- コンテンツ企画: 各タッチポイントで提供するコンテンツを企画します。動画、ブログ記事、SNS投稿、イベントなど、候補者の興味関心を惹きつけ、企業の魅力を伝えるコンテンツを作成します。
ステップ3: 実行・改善する
- 採用プロセスの実行: 設計した採用CXを実際に運用し、効果を測定します。応募数、選考通過率、内定承諾率、入社後活躍度などを指標に、採用CXの成果を評価します。
- 継続的な改善: 候補者からのフィードバックやデータ分析結果を基に、採用CXを継続的に改善していきます。時代や候補者のニーズに合わせて、常に最適な体験を提供できるよう努めます。
採用CX設計で私が大切にしている3つのポイント
ここからは、私が採用CX設計をする上で大切にしているポイント3つをご紹介します。
1. 候補者インタビューでリアルな声を聴く
採用CXにおいて最も重要なのは、候補者の本音を理解することです。 想像力を働かせ候補者の心情に思いを馳せることも大切ですが、実際に体験した人に話を聞くのが一番の近道です。
入社者へのインタビュー: 自社を選んだ理由、選考過程での印象、改善点などを聞き出し、成功体験と課題を把握します。
見込み候補者へのインタビュー: 転職活動の状況、他社との比較、求める情報や体験などを聞き出し、採用戦略に活かします。
2. 候補者にとって「自社はたくさんの選択肢の一つ」だと理解する
ついつい陥りがちなのが、「候補者は自社しか受けていない」という前提で、採用CXを構築してしまうことです。 実際には、候補者は他の会社もたくさん見ています。 常に他の会社と比べられることを意識して、採用競合をリサーチし自社の魅力が伝わる採用CXを作ることが大切です。
3. PDCAサイクルで継続的に改善する
採用CXは一度作ったら終わりではありません。 採用状況や候補者の反応を見ながら、常に改善していく必要があります。 面接後にアンケートを取ったりして、候補者の声を聞き、彼らのニーズに合った採用体験を提供し続けましょう。
企業と候補者の最高の出会いをプロデュース!
採用CXは、企業と候補者、お互いが「この出会いは最高だった!」と心から思えるような、そんな特別な体験をデザインするための大切な考え方です。
候補者一人ひとりの気持ちに寄り添い、感動と喜びを与える採用体験を提供することで、企業は単に優秀な人材を獲得するだけでなく、企業の魅力を伝え、共感を育み、入社後の活躍を後押しすることができます。
また、人事だけが頑張るのではなく、社員みんなで協力して作っていくことも大切です。そうすることで、社員一人ひとりが「会社を良くしたい!」という気持ちを持つことができ、会社への愛着も深まります。
面接で自分の経験や入社理由を話すことは、普段の仕事を見つめ直す良い機会にもなります。「なんでこの会社で働いているんだっけ?」「どんな想いで仕事をしているんだっけ?」と改めて考えることで、日々の仕事の意義を再確認できます。
採用CXは、未来の仲間だけでなく、今の社員にとってもプラスになる取り組みなんです。
採用CXは、企業と候補者の未来を明るく照らす、まさに「出会いのプロデュース」。 ぜひ、この記事を参考に、採用CXという新たなステージへ踏み出し、企業と候補者、双方にとって最高の出会いを創り出していきましょう!