すべての文章から「注意が必要です」を撲滅したい【ライティングのコツ】
今すぐWord、ドキュメントで「注意が必要です」をテキスト検索してください。そしてそれを削除するのです。
いきなり過激派のようなことを書きましたが、これをするだけであなたの文章はぐっと価値が上がります。
「文章が上手くなります」とは少し違います。価値が上がるのです。
それでは、なぜ「注意が必要です」を消すと文章の価値が上がるのか、どう削除すればいいのかについて解説していきます。
目次
「注意が必要です」に注意が必要です
これまでライターとしてたくさんの記事を書いたり、あるいは人が書いた記事をチェックしたりしてきましたが、「いいコンテンツかどうか」という視点で見ると文章力はそれほど重要ではないと感じています。
もちろん文章力はあれば嬉しいですが、コンテンツマーケティングを目的とした場合、小説のような読ませる文章は必要ありません。
最も必要なのは、ターゲット目線であり、そのコンテンツがターゲットの課題を解決できるものかどうかです。
この視点でいいコンテンツかどうかを考えると、「これはいいな」と思った記事はとにかく具体的です。曖昧な言葉はなく、一文一文に意味があり、ターゲットに具体的な言葉を届けています。
「曖昧な言葉を避ける」という意味では、文章力向上の観点だと「こそあど言葉を避けよう」というのをよく見ます。
技術を磨く上ではそのとおりですが、実践的ではないというのが僕の意見です。前に出てきた言葉を指して言い換える「こそあど言葉」は、日本語の構造に必要な要素であり、避けたからといって「曖昧な文章が具体的になる」わけではありません。
では、文章を曖昧にしてしまう要素にはどんなものがあるのか。
いろいろなものがありますが、けっこう幅を利かせているのが「注意が必要です」だと思っています。「注意しましょう」も同様です。
「注意が必要です」と文章内に書いたとき、そこにはほぼ100%、別の言葉が入ります。「注意が必要です」は本来入るはずだったフレーズを弾き飛ばし、文章を曖昧にしてしまいます。
なお誤解を恐れずにいえば、「注意が必要です」は本来説明するべき言葉を考えつけないがゆえに、ライターが思わず書いてしまう“逃げ”のフレーズだと思っています。これで文を結んでおけばひとまず形になる、とても便利なフレーズなのです。
「注意が必要です」は便利すぎるがゆえに、それって本当に注意を促すところなの? という箇所で見ることもあります。ターゲットの課題に寄り添えておらず、なお悪い用法だといえます。
一応補足しておくと、ほぼ100%別の言葉が入りますとは書きましたが、「注意が必要です」で特に問題のない文章ももちろんあります。言葉ですので、絶対にコレという書き方はありません。
実例を用いて「注意が必要です」を校正してみよう
「注意が必要です」にはほぼ100%別の言葉が入ると述べましたが、別の言葉が入ると、その文章は一気に具体的になります。具体的であるということは、ターゲットにとって必要な言葉をより早い段階で届けられるということです。そうしたコンテンツには価値があります。
では、ここからは「注意が必要です」を撲滅するための具体的な例を見ていきます。
なお実例と書きましたが、特定防止のためにアレンジしています。
校正例1
文章として見ると特に違和感はありませんが、なかなかにもったいない例です。こういう「注意が必要です」はよく見ます。
ここでは、以下のように書き換えができます。
具体的な次のステップを書くことで、読者を待たせることなく、コツを伝えることができます。
なお元の文章では、ここからもう1クッション挟んだあと、ベネフィットという言葉が出てきます。
どうせ出てくるなら、できるだけ早いほうがコンテンツとしては正解です。
校正例2
これは「本当にそれって注意を促すところなの?」のタイプです。
普通に調べ物をしていたり、なんとなくネットサーフィンをしていたりしてもよく見ます。
ポイントは「できないので」。
できないことはできないので、注意も何もありません。
言葉としては、「注意」には「やらない」ではなく「やる」ニュアンスのほうを強く含みます。
「注意して道路を渡る」とは言いますが、「注意して道路を渡らない」とは言いませんね。
ここでは、以下のように書き換えができます。
1つ目は及第点です。できないことを伝えるときは、「できません」で言い切るほうがスマートな文章になります。
できれば2つ目のように書きたいところです。「できない」で終わるのではなく、Instagramのポストを作る際のポジティブなコツを伝えています。
校正例3
「注意しましょう」にも注意しましょう。
確かに注意したいケースですが、より具体的な言葉があります。
この文章は「並べ替え前の状態が消えるのが困るユーザー」に対してのものなので、具体的な対策を書いてあげると親切です。
校正例4
さて、この「注意が必要です」はそんなに悪くないですね。Excelのできることに対して注意点を簡潔に伝えており、特に修正の必要性は感じません。
あえて修正するなら、以下のようにはできるでしょう。
こうすると、流れを切ることなく次の話へつなげることができます。
この次に箇条書きで注意点を羅列し、必要に応じて詳しい説明を加えると、見やすく、ユーザーのためになるコンテンツになりそうです。
校正例5
校正例2では「できない」のケースを紹介しましたが、「やってはいけない」も要注意です。
(いま、書きながら意図的に注意が必要ですを避けました)
やってはいけないことはやってはいけないので、たいていは言い切ってしまうほうがいいですね。
ただ、「やってはいけない」パターンでもわりと問題ない「注意が必要です」もあります。
これは注意が必要ですね。
上司についていって名刺を交換するシーンでは、緊張しているでしょうし、通された部屋のレイアウトによっては先方が自分側から近づいてくることもあるでしょうし、うっかり自分から名刺を出してしまうこともありそうです。そういうのをひっくるめて、「注意が必要です」と喚起するのは悪くありません。
ただ、悪くないとはいえ、より具体的に説明することはできます。
文の前後によって何が適しているかは変わりますが、具体的な言葉を意識することでいいコンテンツに近づいていくでしょう。
まとめ:いいコンテンツに必要なのは具体性
「注意が必要です」にはたいていの場合、他の具体的な言葉が入ります。具体的な言葉はターゲットに必要な情報を早く届けることにつながるので、コンテンツとしての価値が上がります。
今回は「注意が必要です」を撲滅しにかかりましたが、主旨としてはできるだけ具体的な言葉を使おうということです。
他にも、文章の具体性を下げて曖昧にしてしまう言葉はいくつかあります。この視点で文章を見直してみてください。